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いただけるか。一般のツーリストとこういう歴史というようなものに少し興味を持っている人たちには、どういうところまで説明をするか、そんなことをやっております。
みやげもひどいです。日本のみやげは饅頭とせんべい、何かが出てくるとすぐに何とかせんべいというのが出てくる。もう少し気のきいたものがないかしらと思うのですが、本当にスーベニールにしては物悲しいです。やはり、後々まで思い出して楽しむと、そういう物をつくるという努力を払わなければいけない。
それからもう一つ困るのが、どこに行けばどんなものが食べられるかというガイドが日本ではあまりよくないです。外国の場合では大体市民に聞くと、あそこがいい、ここがいいと教えてくれる。タクシーの運転手だろうと、誰だろうと教えてくれる。日本で間違いのない情報を教えてくれるところが1カ所だけあるのです。これは消防署なんです。もっともあまりこんな人が増えると嫌がられますが。消防署というのは知らない街に行くと、ちゃんと火の見やぐらが立っているからすぐにわかるでしょ。変に駅前などに車を止めると、すぐにお巡りさんが飛んできます。「この辺でおいしいラーメンは……」などと言うと「あっち行って、あっち行って」と追っ払われます。それで消防署に行くのです。火事のある時に行ってはいけません。火事の時は消防署は忙しいですから。火事がない時なら暇ですし、車を止める余地というのは不思議にあるのです。
「こんにちは、今日はのどかですね」「何しに来たのですか」「いやあ、実は初めてだけれどもいい街ですね」という様なことを言って、「何かおいしいものはないですか」「ここは観光案内所と違いますよ」と言いながら、「でもね、あそこのところは割にいけますよ」というような事で教えてくれるのです。必ず教えてくれるのです。親切です。消防署員というのは火を扱っているところは全部店を知っていますから。しかし最後に必ず言います。「消防署で聞いたと言わないでね」と。
つまり、どこがおいしいというのは行政は関与してはいけないのです。だから市民が勝手にどこがおいしいということを言わなければいけないのです。そういう情報をつくらなければいけない。そういう意味では行政のやれること以上に、実は市民がやれる事というのは多いのです。ところが、そういうものが日本の場合はみんな行政頼みにしてしまうという悪いところがあります。こういう意味では、例えば神戸を愛する人たちというのがいろいろな活動をやっておりますが、その事のついでに、いろいろな事をやってくださる。
音楽の好きな連中は、ではどこに行ったらジャズをやっているよというような情報です。
実はこれは今、外国人の手でバンブネットワークというのがコンピューターのホームページで開かれていて、今、これは結構有名なんです。日本人よりも外国の人、日本に来ている人のほとんどが知っていらっしゃる。
この様に、市民がそういう情報を自由に交換していくという事が非常に都市観光という場合には重要な事になってくる。表向きのホテルのコンシェルジェというのは本当に日本ではろくな情報を持っていない。そこの人たちが本当に自分で見にいってないですから、つまり観光案内書に書いてある事やら情報誌やらチケットの販売店の出先みたいな情報しか持っていない。やはりこの辺になるとヨーロッパのホテルなどというのはすごいです。
おばあちゃんがうずくまっていて「切符を取ってやるぞ、お前ら、希望を言え、1つキャンセルがあったぞ」などと言って、えらく自慢して、それで別に高く売りつけないでまともな値段で売ってくれる。売ってくれるといってもメモにサインだけ書いて、「これを持って窓口に行け」と、「金はどこで払うのか」と聞くと、「ここで払え」と、本当にいいのかと思うがこれでちゃんと間違いがないです。そういうシステムというのが日本で出来るといいですね。なかなかそういうところは遅れていると思います。
今日はカナダの方もたくさん見えているのですが、カナダでもそういう点では日本と違った人々を楽しませるための行き届いたシステムがあります。バンクーバーの場合は、ヨーロッパに行くと必ず寄って、ことのついでに下りてみるかというので結構下りる人がいたのでありますが、最近はそうではなくて、わざわざという人たちが増えましたので、かえってよくなったかもしれません。一時はろくでもない日本人がたむろしていて、本当によくなかったのですが、最近はあまりその話は聞かないです。今年の春に家内も3週間ばかりホームステイをさせてもらってきましたが、大変喜んでいました。花が美しいし、もう一度行きたいと言っております。
神戸の街というのも決して汚くはないのでありますが、本当にまだ花が美しいというところまでいきません。何となくそこの街にふさわしい花の飾り方というのが定着していない。日本というのは一輪挿しにさすようなものはいいのですが、街を飾るとなると何か外国の真似をするような具合で、プラスチックのプランターにワッと盛るとい

 

 

 

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